今回はノルウェーの貴金属細工工房"Jacob Tostrup"の紹介だ。
ウチでもアンティークのスプーンなどを扱っていますね。
メジャーな工房なのですか?
ノルウェー銀器の黄金時代を支えた工房の一つで、もちろんとてもメジャーな存在だ。アンティークシルバーの世界でも良く見る名前だが、今なお営業は続いている。
アンティーク時代から……というと、創業100年を越えている状態なのですね。
創業は1832年からなので、その歴史は180年以上になるな。
すごい老舗ですね。
工房の名前は、その創業者 Jacob Tostrup からつけられたものだ。Jacob Tostrupは1806年生まれのベルゲンの出身だ。当時のノルウェーでは最高の金細工師の一人で、当時はクリスチャニアと呼ばれていたオスロに自分の工房を構えてからは職人ギルドの要職を歴任した。

Jacob Tostrupの胸像
まだ、職人ギルドがある時代なんですね……。
ところがそのギルドの独占権は1939年に失効して、ノルウェーでは誰でも参入できる産業時代に突入する。古くからの工房がどんどん没落していくなか、Jacob Tostrupの工房はますます栄えていくんだ。
それは一体なぜでしょうか?
まず彼が進めたのが機械化だ。それまでの前近代的な生産体制を改めて、新しい作業用機械を導入した。それによってより精度の高い高品質な銀器をたくさん作れるようになった。
そして市場開拓のためにマーケティングを重視した。彼はオスロの街中にある自分の工房に大きな窓を設け、その外観を美しく飾って人々の耳目を集めると共に、新聞広告を打ってそれまで銀器が持てなかった一般市民層にも自分の作品を訴求したんだ。

オスロにあるトストルップ・ガーデン

Tostrupの広告
ギルドの職人が数少ない貴族や富裕層のみを相手にしていた頃からすると、大きな発展なわけですね。
閉鎖的だったノルウェーの金細工師の中ではそんなことをした人はそれまでおらず、その分野のマーケティングの先駆者だったと言ってもいいだろう。顧客開拓は国内にとどまらず、パリをはじめとした博覧会や展覧会に積極的に出品した。これはもちろん、工房の卓越した技量とデザイン力があればこその話だ。
技術力もすばらしかった、と。
特にエナメルワークに長けていて、多くの人が買い求めるようになった。そしてその傑出した技術力から、彼はノルウェー王家から「王室付き宝飾細工師」に任じられる。
おお、それはすごいです!
その優れたエナメルと工芸の技量をいかんなく発揮して作られたのが、ノルウェー最高の栄誉である聖オーラフ勲章だ。

聖オーラフ勲章
正確な工作の技術とエナメルワーク、そして必要に応じてすぐに生産できる体制……たしかに勲章を作るのにはもってこいですね。
ノルウェーの金銀細工を近代化させ、国際的な評価も得た、まさに不世出の職人だ。彼は1890年に死去するのだが、その死の数日前には、自身がデザイン・生産に携わった聖オラフ勲章が授与されている。
粋な計らいですね。
その後も、彼の後継者たちが工房を引き継いで会社を繁栄させ、いまなおオスロで活動中だ。
歴史と栄光に満ちたノルウェー有数の宝飾工房、それがこの"Jacob Tostrup"なのですね。

JACOB TOSTRUP プリカジュールラウンドアンティークシルバースプーン

価格:8800円
サイズ: 14cm

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ツタンカーメン展

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現在ちょうど大阪港の海遊館のとなりの天保山特設ギャラリー(以前のサントリーミュージアム)でやっている「ツタンカーメン展」へ先日ゴールデンウィークに行ってきた。
おお!

どうでしたか?
すごい人だった……。
まあ、ゴールデンウィークに行ったらそうなるでしょうね。
16時頃に行ったら整理券が配られていて、実際入ることが出来たのは19時だ。
3時間ほども待つのですか!?
本来の閉館時間は日曜祝日でも19時だから、その時間帯で入場というのがいかに異常な事態だったか分かるだろう。
閉館時間はいつだったのですか?
21時だった。スタッフの人も入るときには「何時まで開けているか分からない」と言っていたので、まあ、緊急措置だったのだろうな。
お、おそるべし!ゴールデンウィーク!!
 
むろん、それも「ツタンカーメン」というネームバリューあってのことだろう。
なるほど、それで展示はどうでしたか?
なかなか充実していて興味深い内容だった。
ツタンカーメンやその周辺の時代の諸王の墓からの出土品が主だが、説明なども充実していてなかなか見応えがあった。スタッフの人もなかなか勉強しているようで、こちらが質問したことにもサクサクと応えてくれたぞ。
おお、それはそれは。
しかもお土産物も結構充実していたぞ。
まあちょっと変わったノリのものもあるが……。
…………(^^;;
ただこのツタンカーメン展、一つ注意点があってねえ。
??なんでしょう?
様々なツタンカーメンや彼の時代の遺物が展示されているのに、その中に「ツタンカーメンの黄金のマスク」がないのだ!
がーん!!って、広告にマスク載ってませんでしたっけ?
いや写真をよく見てみろ!……首から下に胴体がついているのだ!
え!?あっ、本当だ……。
これは実は「カノポス容器」という死者の肝臓を入れるための金や貴石でつくられた容器で、繊細な細工の施された美しいものなのだが、とても小さいものなのだ。
つまりこれはマスクではなく、カノポス容器のアップ写真だったのだよ!!
マジで!?
いやー、行ってみると驚いたわ。
んー、確かにマスクが来ているとは広告のどこにも書いていませんね。
展覧会の内容自体は充実していて素晴らしいが、広告写真を見て「黄金のマスクを見てやるぞー」と思っていくと、思いっきり肩すかしを食う羽目になるので注意が必要だ。
展覧会は6月3日の日曜日まで続きますが、休日に行く場合には人出の多さや見に行く時間にも注意した方が良さそうですね。

 

 

今回紹介するのは「総主教十字」だ。
そうしゅきょう?
総主教」というのは、キリスト教の古くからの階位の一つで、現在においては東方正教における聖職者のトップだな。
世界総主教であるコンスタンティノープル総主教を筆頭に世界で9人がいる。
トップなのに9人なのですか?1人ではなく?
東方正教では、各地域ごとに並立して独立教会組織を立てている。たとえば「ロシア正教会」「セルビア正教会」といったような感じだ。そして、それぞれの教会組織の教会組織のトップに立っているのが「総主教」というわけだな。
ローマ教皇がすべてのトップにくるローマカトリックとは違うのですねー。
まあ、「アメリカ正教会」とか「日本正教会」みたいな、ちょっと格が低い独立教会は総主教ではなく大主教しかおいていないけどな。
で、肝心の総主教十字がこれだ。

総主教十字
……なんかアンテナみたいですね。
一般的な十字に横線が増えている。この増えた横線はキリストの処刑を行った総督ピラトが命じてつけさせた横木……らしいが、他にもキリストの復活による第二の生という意味もあるとかで、色々と解釈があるな。

総主教十字
シンプルな記号なのに、みんな色々と意味を見つけるものですね。
名前の通り、主に高位聖職者が使う紋章だ。
別に東方正教専用の十字というわけではなく、カトリックでも使用されている。昔は正教とカトリックは一つで、ローマ教皇も「ローマ総主教」と呼ばれていたからね。しかし、元々が東方正教の本拠地であるビザンチン帝国由来ではあるので、国章に採用されているのはヨーロッパでも東側に位置するハンガリーやスロバキアなどだ。

ハンガリー国章
地理的要因もあるのですね。
とはいえ西欧で全く使われていないわけではなく、下の横木の位置をさらに下げたバリエーションである「ロレーヌ十字」がフランスにおいて使われている。
かのジャンヌ・ダルクの象徴であり、一時期ドイツに奪われていたロレーヌ地方の象徴でもある。そこから、このロレーヌ十字はフランスにおいて、侵略に対する抵抗や愛国心の象徴として第二次大戦中のレジスタンスの象徴としても使われていたのだ。

ロレーヌ十字をあしらった自由フランス旗
やはりこれにもバリエーションがあるのですね。
他にバリエーションとしては、横木を上に一本足した「教皇十字」と下に斜めの横木を足した「ロシア十字」がある。
教皇十字は文字通りローマ教皇専用の十字だ。線が多いからその分エライ!……と考えたかどうかはともかく、一応ローマ教皇の持つ「司祭権」「司牧権」「教導権」の三つをあらわしているとされているな。
線が多いほど階級が高いって、建築現場のヘルメットのラインみたいですね。

教皇十字を持つローマ教皇シルウェステル1世像
渋いこと知ってるなぁ……。
ロシア十字は文字通りロシア正教で多く使われる十字だ。正式には「八端十字」といって、下の斜めの横木はキリストが十字架に架けられたときの足台だ。正教では十字架には足台があったと言われているのだ。

八端十字
線一つとっても、その位置や角度で全然違うものになる、と。
こういうのを知っていると、品物の来歴とかもおぼろげにわかって色々と捗るぞ。
なるほどなー。

 

 

ヨーロッパといえばキリスト教の本場。そしてキリスト教といえば、そのシンボルの「十字」だ。
キリストが十字架にかけられたところからきているのですよね?
そうだ、だから元々はローマの処刑用のものだった。それがキリスト教の博愛の象徴になっているのだから歴史というのは面白いな。
でしたらそのローマの十字架の形がシンボルじゃないのですか?
ふむ、本来はそうだろう。
しかし、長い歴史の中で国や王侯貴族、様々な団体の紋章などにも使われるようになった結果、その十字も識別のために様々な派生形が生まれ、色々な形がとられるようになっていったのだ。
あー、確かにシンプルな形の分、色々とバリエーションは持てそうですからね。
そんなわけで西洋文明とは切っても切り離せない、十字(クロス)の紹介だ。
まずは「プレーン・クロス」。いわゆる「ふつうの十字」だな。

プレーンクロス
まあ普通ですね。
オーソドックスなだけに利用例も多い。
利用例が多いと間違いも多くなるんじゃないですか?
いや、形は同じでも背景の色十字の色が違うからね。例えば赤地に白の十字は「聖ゲオルギウスの十字」と呼ばれていて、イングランド国旗やミラノ市の市章に使われている。

イングランド国章

ミラノ市章
なるほど。
他にも白地に黒の十字は「バルケンクロイツ」と呼ばれていて、かつてドイツ騎士団がその紋章として使用していた。

バルケンクロイツ
ベースなだけに広く使われているのですね。

 

ヨーロッパのおもしろい博物館 (Table book)

出版社: リブロポート (1997/09)
ISBN-10: 4845711524

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ヨーロッパには多くの博物館がある。
ロンドンの大英博物館やパリのルーヴルなんかですね。
まあ、そこらはとくに有名どころなわけだが、博物館の本場であるヨーロッパでは、実際大きいものから有象無象まで含めるととんでもない数の博物館があるわけだ。そんななかには博物館の王道を行くようなものばかりでなく、かなりユニークな展示を行っているところも多い。
ふむ、それはいったいどんなものなのでしょうか?。
それを紹介したのがこの本なのだ。
豊富な写真と文章で様々なタイプのちょっとユニークなヨーロッパのおもしろ博物館を紹介していってくれるぞ。

たとえば?

まずは、日本でもよくあるのだが、ヨーロッパでもまた功績のあった偉人を記念した博物館だな。
どういう人の博物館なのでしょうか?
ここで挙げられている中では「ファーブル博物館」、「ナイチンゲール博物館」、「フロイト博物館」などだな。かわった人物としては「ノストラダムス博物館」などというものもある。

ノストラダムス博物館
の、ノストラダムス!……世紀末にはさぞお客さんを集めていてそうですね(^^;
またヨーロッパならではの「食材」を取り扱った博物館もある。
むむ、なんですと!
「アルザス・ワイン博物館」に「トリュフ博物館」だ。

アルザス・ワイン博物館
と、トリュフかぁ。
他にもイロモノというかキワモノっぽいところでは、人体標本を取り扱った「ボローニャ人体解剖博物館」や、中世ヨーロッパの様々な拷問器具を取り扱った「中世刑罰博物館」などもある。

中世刑罰博物館
う……なんか、すごいところですね……。
もちろん普通に直球勝負ですごいところも紹介されている。世界最初かつヨーロッパ最大クラスの海洋博物館、「モナコ海洋博物館」であったり、500台もの年代物の名車がそろったフランスの「国立クラシック・カー博物館」などだな。

国立クラシック・カー博物館
うわ!すっごい車がいっぱい……お金かかってそうですね。
これは元々は繊維で財を成した富豪が集めたコレクションだったのだ。だが不景気によって彼の会社は破綻、その結果、このコレクションは保管していた繊維工場跡とともに国によって歴史的建造物指定されたという経緯があるのだよ。
なるほど、「博物館にも歴史あり」ですねえ。
まあ、このように博物館の来歴なども紹介されている。ヨーロッパで旅をしたときに、ちょっと変わったところに行きたい場合は読んでみるのもいいだろう。説明も簡潔で、写真も多いので読みやすいぞ。
博物館マニアの方はぜひどうぞー。

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サイズ: 9cm×18cm

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